それは人間だけが弱肉強食を行わないで生きていくすべを知っているからである。
仏戒の第一は「他生を殺す勿れ。また他をして殺さしめる勿れ」である。
人間以外の生物は生きるために必ず他生を殺して食わねばならない宿命を負う。
独り人間だけが他生の生命を奪わずに生きるすべを知っており、それが農業である。
生物の宿命が生老病死であり、生存の宿命も生老病死である。
生命が生老病死を遂げるためには生存が必要で、生存のために生物が行動する行いが生活である。
人間以外の全ての動物には生活すなわち生存のために行える行動は食行為であり弱肉強食の宿命があるが、
人間だけが生存するために生業を持ち、生業を実業と虚業に分けて選んで生活しているので、
繁殖育児以外はすべて個で行動し生存する動物と異なり、
人間は複数集まって社会を作って弱肉強食をこととせずおのおの生業をもって社会生活を営むことが出来る。
生老病死の一生の間殺す勿れの不殺生戒を守れるのは、それゆえに人間だけである。
生きるということは食べるということだが、人間だけが他生を殺すことなく生きてゆけるすなわち食べてゆけるのである。
生業が不殺生戒をまもることであるのは、農業である。
人間を他の動物と分かつ最も根本的な行いが農業である。
個体の動物としての生存は食べることにかかっているが、
動物が食べるとき自己の身体をこの世で保つことだけが目的であり、
これは他生を忘れて唯己のみ独り食を得て生きれば良いという利己の慾にしたがう生活である。
お百姓さんが作物を作るときはすべて他生が生きるために田畑を耕し天の時を見て収穫して食物を作るのであって、
作るときから収穫した後まで全て他生を決して殺さず他をして生かしめる利他行をおのれの利を度外視して働き続ける。
そして作物を作る土に対(むか)ってひとり働くことそのものを楽しんで、己を忘れて利他のためにはたらくことに無上の幸福を見出すことを悟る。
農業こそ忘己利他菩薩行であり、拈華微笑して男女ともに成道成仏するこの世の真実の実業であり、
日本の国はムー大陸時代から忘己利他百姓農業慈悲布施菩薩男女が夫婦となって子孫繁栄し、
赤子を授かってはみつごのたましいに父母の優しい抱ッコで全てを教え伝えてきた仏国土である。
如何なる国の人も日本の国に来たならばみな日本語という仏法の言葉を覚え話して、
和を以て貴しとなす親孝行親切日本人となるのである。
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